久ブロ

自分の興味や、思い出したことを書いています。

是非に及ばず

そろそろ、買ってきた本のレビューを開始したいと思います。はじめてのレビューは、漫画です。え、漫画は本じゃない・・?そうかもしれませんが、真面目な漫画ですので。

それにしても、漫画を買って読むのは本当に久しぶり。下手すると、高校や大学生以来かもしれません。最後に全巻集めて読んだのは、石渡治さんの「B・B」という作品。この漫画が、格闘技(この漫画では「ボクシング」)を好きになったきっかけかもしれません。

www.amazon.co.jp

 

石渡さんの作品では、「火の玉ボーイ」も全巻持っていました。“ハングリー!”と言って強くなる主人公に、なぜか憧れていた記憶が。。学園もの青春もの漫画です

www.amazon.co.jp

 

久々の漫画を買うわけで、何を読むか悩みました。そこで、ひとつ自分に条件をつけました。「読み切り」にする。全巻いっきに読むこと。この次どうなるのかな・・・と気になるのも嫌ですし、長い漫画だとレビューする前に内容を忘れるかもしれないので。全巻集められるものを探しました。そして、選ばれたのがこの漫画です!7巻すべて買いました。

www.amazon.co.jp

 

「信長を殺した男」、明智光秀の話です。明智光秀がなぜ信長を殺したのか?信長を恨み、天下取りの野望を抱いての謀反や、光秀・ノイローゼ説など色々あるようですが、日本の歴史が誇る絶対的カリスマ・信長に対して、光秀が謀反を起こすまでの動機を、この漫画では説明してくれています。

明智光秀と言うと、なんとなくダークなイメージがあります。あの信長を殺した男ということもあるし、なんと言っても信長の家臣であるのに「謀反=裏切り」ですから、逆賊扱いは仕方ありません。個人的に光秀は真面目で、どちらかというと細かいことを気にする外交・内政タイプで、ちょっとネクラなオデコの広い方なのかなと思っていたのですが、そんな自分のイメージとは真逆な人物として、この漫画では光秀が描かれています。正義を尊び、家族や民を愛し、部下や周りの武将の信頼も厚く、天下泰平を望む智謀溢れる武将です。ちなみに、この漫画は光秀の子孫の方が原案となっているので、光秀よりなストーリーになっていることは確かです。それでも、世にある圧倒的なアンチ光秀作品の数から考えても、このような定説に異を唱える作品は、真実を求めるバランサーとしても必要です。

ネタバレはしませんが、この作品には見所?読みどころ?がかなりあります。まず、信長と光秀の関係です。実は、光秀って信長よりも18歳も年上だって知っていますか!?自分は、光秀は信長よりも年下で、若い頃から活躍したエリート武将かと思っていましたが、実際はとても苦労人で、出世するのは50歳以降という超大器晩成タイプです。本能寺の変では、光秀は既に67歳だったようです。そして、信長の光秀への信頼は絶大でした。また、光秀も信長には心から惚れ込んでいて、自分にとっては絶対的な王様であると見ています。それが、時と共に二人の関係が変わっていきます。いや、二人の心にあるお互いの気持ちは変わっていないのですが、求める世の中や、そこまでのやり方の考えにすれ違いが生じてくる様子がとてもうまく描写されています。お互いが側で支え・支えられたいと考えているのに、なぜか違う方向に・・・、それはもう一種の恋愛小説です。

信長と光秀の関係も見ていて面白いのですが、それ以上に興奮するのは、信長家臣団の出世競争です。特に、光秀と羽柴(のちの豊臣)秀吉のライバル関係がすごいです。この漫画における、絶対的「悪者」は秀吉なのですが、共通の殿を持ちながら互いに騙し合い、相手の発言権や地位を陥れる戦いを繰り広げます。それはもう、生死があるだけに「倍返しだ」の半沢直樹よりもリアルです。光秀の知略・策謀VS秀吉の情報力・人心掌握の戦いです。この二人の戦いの結果は皆さんもご存知ですが、漫画を読むうちに光秀を応援したくなる自分がいることに気がつきます。

さぁ、中国大返しの秀吉との山崎の戦いが始まるぞ!と思いきや、うん?最終第8巻2020年秋発売予定!?しまった。全巻ではなかったか。。秀吉の情報力に圧倒される光秀の気持ちがよく分かる。いや、そんなレベルじゃなくて、ただの調査不足か。待つしかないのか〜。こんな時も、私とは違ってカリスマ・信長は「是非に及ばず」と格好よく決められるはず。